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発明の名称 「初期損傷形成治具及び初期損傷形成方法」
特許第7125108号
登録日  令和4年8月16日

【技術分野】
 本発明は、航空機の機体や車両又はその他の構造物の強度試験において、リベット、ボルト等の結合用の孔に予め人工的な亀裂である初期損傷を形成するための治具及び方法である。
【背景技術】
 従来、航空機の機体の強度試験を行なう際、リベットやボルト用の孔に人工的な亀裂(初期損傷)を糸ノコで形成し、その後に内部を加圧する等して初期損傷が成長するか否かを確認していた。
【発明が解決しようとする課題】
 しかし、人工的な初期損傷を形成する際には、その初期損傷の幅及び長さに精度が要求されるところ、上記の糸ノコで初期損傷を形成する方法では、高精度の初期損傷を形成するのが困難であるとともに、初期損傷の形成に時間がかかり一つの孔あたり約1日を要していた。また、試験に用いられる試験体は、航空機の機体の一部を切り取った実物の模型であり、その模型の製作だけで数千万円の費用がかかっていた。
このような高価な試験体であるから、初期損傷の形成に際し失敗は許されず、作業者の大きな負担となっていた。また、現在開示されている特許文献の技術では、比較的小さな試験片に対しては有効であるものの、大きな試験体に対しては用いることができないという課題があった。
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、試験体の大きさに左右されずに人工的な初期損傷を高精度かつ効率よく形成することができる初期損傷形成治具及び初期損傷形成方法を提供することを目的に開発した。
【課題を解決するための手段】
 本発明の初期損傷形成治具によれば、
 ①芯出しピンによって、試験孔と本体プレートのガイド孔とで連通した通し孔が形成される。
 このため、
 ②当該通し孔に引っ掻きピンを挿入して抜くときに、通し孔の軸方向のみに引っ掻きピンが移動する。
 また、
 ③引っ掻きピンに装着された刃物は、ガイド孔の周囲に設けられたスリットに差し込まれてその向きが定められる。
 これらによって、高精度な初期損傷を効率よくかつ容易に形成することができる。


2022年09月28日